介護が必要な高齢者の口腔ケア方法と誤嚥性肺炎予防のポイントを解説
2025/12/20
こんにちは、成田市の歯医者、メイプル歯科はなのき台クリニックです。
高齢化が進む現代社会において、高齢者のオーラルケアは非常に重要です。
口腔内を清潔に保つことは、歯や口の健康だけでなく、全身の健康にも影響します。
今回は、介護が必要な高齢者の口腔ケア方法と、誤嚥性肺炎予防のポイントを解説します。
高齢者の口腔ケアが大事な理由
誤嚥性肺炎の予防
高齢になると、嚥下機能の低下により、口の中の細菌が唾液や食べ物とともに気管や肺に入って誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。
毎日の丁寧なオーラルケアで口腔内の細菌を減らし、口内環境を整えることが重要です。
特に睡眠中は唾液の分泌が減り細菌が増えやすいため、就寝前に口腔内を清潔に保つ必要があります。
栄養不足の予防
虫歯や歯周病、歯の欠損、入れ歯の不具合などがあると、噛むことが困難になり、食事量が減少します。
口腔ケアで口の機能を保つことは、十分な栄養摂取と全身の健康維持に欠かせません。
また、よく噛むことは、消化を助けることや、食事の楽しみを維持することにもつながります。
社会性の維持
口内環境が悪化すると、口臭や口元の見た目が気になり、人と話したり笑ったりするのに抵抗を感じるようになります。
清潔で健康な口内環境を保つことは、会話を楽しみ、周囲との関わりを保つための基盤になります。
認知症リスクの軽減
咀嚼は脳への血流を増やし、記憶や学習に関わる海馬を刺激することで、認知機能の維持に役立つと考えられています。
歯を失って十分に噛めなくなると、この刺激が減少し、認知機能の低下につながる可能性があります。
薬剤の副作用への対策
高齢者が服用することの多い降圧剤や抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などには、唾液の分泌を減らす副作用があるものがあります。
唾液は口の中を洗浄し、細菌の増殖を抑える役割を持つため、口が乾燥すると粘膜が傷つきやすくなったり、口内炎や感染症のリスクが高まったりするほか、誤嚥のリスクも増加します。
高齢者の口腔ケア方法
口腔ケア用品をそろえる
口腔ケアを行う前に、まずはオーラルケア用品をそろえる必要があります。
歯ブラシは、ヘッドが小さく、持ちやすい柄のものを選ぶようにしましょう。
介助用の歯ブラシは柄が長く角度がついているため扱いやすくなっています。
歯磨き粉は研磨剤が少なく泡立ちが控えめなものを選ぶと、うがいが難しい方でも使いやすくなります。
歯間ブラシやフロスは歯と歯の間の清掃に役立ちますが、使用には技術が必要なため、無理のない範囲で取り入れましょう。
口腔スポンジや綿棒は、粘膜の清掃や保湿に使え、ブラシが使えない場合にも利用できます。
そのほか、入れ歯を使っている場合は専用のブラシや洗浄剤が必要です。
また、口腔保湿剤やマウスウォッシュ、吸引器なども状況に応じてそろえておきましょう。
介助者の感染予防を行う
口腔ケアを行う前に、介助者はまず手を石鹸と流水でよく洗うか、アルコール製剤で消毒します。
その上で、使い捨て手袋を着けると、唾液や血液による感染を防ぎやすくなります。
口腔ケア中は唾液や水が飛ぶこともあるため、マスクやエプロンの着用も忘れないようにしてください。
声掛けをし体位を整える
口腔ケアを始める前には、まず声をかけてこれから行う内容を伝えます。
突然手や器具が口の中に入ると驚いたり不安を感じたりするため、穏やかな声で繰り返し説明するようにしましょう。
次に体位を整えます。誤嚥を防ぐには、ベッド上の場合は背もたれを30度から60度ほど起こした姿勢、可能であれば端座位や車椅子で座った姿勢など、上体を少し起こした姿勢にしてください。
頭部をやや前に傾けると、口腔内の水分や唾液が自然に前方へ流れ、気管に入りにくくなります。
姿勢を安定させるためにクッションやタオルで身体を支え、リラックスできる環境を整えることも大切です。
口内を観察する
口腔ケアを始める前に、まず口の中の状態をよく観察します。
歯や歯ぐきの状態、舌の色や汚れ、粘膜の乾燥や傷の有無、入れ歯を使用している場合は、適合や破損の有無も確認するようにしましょう。
口内に腫れや出血、潰瘍、白い斑点などの異常が見られる場合は、感染症や口腔がんなどの可能性もあるため、早めに歯科医師や医師に相談するようにしてください。
また、口臭の程度や唾液の量も観察し、普段と異なる変化がないかを確認します。
観察した内容を記録しておくと、経過の把握や後のケアに役立ちます。
口腔ケアを行う
入れ歯を使用している場合は取り外します。
歯ブラシは水で湿らせ、歯磨き粉は状況に応じて少量使用するか、使用せずに磨くようにしてください。
歯ブラシは力を入れすぎず、奥歯や歯の裏側など、見えにくい部分も丁寧に磨くようにしましょう。
舌の表面には舌苔という汚れが付きやすいため、専用の舌ブラシや口腔スポンジで優しく拭き取ります。
頬の内側や上顎の粘膜も、スポンジや湿らせたガーゼで優しくぬぐい、うがいが可能な場合は少量の水で口をゆすぎ、難しい場合は吸引器で水分を取り除きます。
最後に入れ歯を専用ブラシで洗浄して装着すれば、口腔ケアは完了です。
誤嚥性肺炎予防のポイント
口内を清潔に保つ
誤嚥性肺炎を予防するためには、口の中を清潔に保つことが大切です。
特に就寝前には、一日の汚れをしっかり落とし、睡眠中の細菌の増殖を抑えるようにしましょう。
また、食事の合間にも水分をこまめに摂り、口の中を潤すようにしてください。
加えて、定期的に歯科医院でクリーニングを受けると、自宅では取りきれない歯石や汚れを除去することができます。
むせにくい食事をする
嚥下機能が低下している場合は、食材の硬さや大きさを調整し、とろみのある食べ物にすると飲み込みやすくなります。
パサパサした食品やサラサラの液体はむせやすいため、とろみ剤で適度な粘度をつけるとよいでしょう。
やや前かがみの姿勢を保ち、ゆっくり時間をかけて食事をすることも、食事中にむせることを防ぐために大切です。
また、食後は30分ほど上体を起こしたままにすることで、胃の内容物が逆流して誤嚥するのを防ぐことができます。
まとめ
介護が必要な高齢者にとって、口腔内を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎などの疾患の予防につながります。
介護を行う人と受ける人の両方が負担なくケアできるよう、一人ひとりの状態に合わせて工夫しながら口腔ケアを行い、困ったときは、歯科医師などに相談するようにしましょう。
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